2014年03月25日

ジャズ、世にはびこる


ジャズブログ、最終回です。
約3年半、50〜60人ほどの若いミュージシャンを紹介してきました。

これほどの人たちをなまで聴くことができたのは、何ものにも変えがたい経験でした。

ジャズってのは、自分が聴きたいように聴けばいいんだということを知ることができたのですから。

そんなしごく当たり前のことを教えてくれた以下のミュージシャンに、心からなる敬意と感謝を。


ライブの世界に引きずり込み、居続けさせ、幽閉状態にしてくれた、
松本あかねさんp、守谷美由貴さんas、今泉総之輔さんds。


若々しい感性で日本のジャズシーンを明るく輝かせている、
菊池太光さんp、井上銘さんg、早川惟雅さんas、福井亜実さんp、大塚義将さんb。


優雅さと男勝りの力を存分に発揮しているアマゾネスたち、
太田朱美さんfl、高澤綾さんtp、中島香里さんvi、纐纈雅代さんas,ts、平山順子さんas、大橋祐子さんp、佐藤えりかさんb、藤橋万記さんper、石井千鶴さん小鼓、宮脇裕子さんtp。


安定した将来を選ぶべきか、不安定なジャズミュージシャンの世界へ飛び込むか、迷っただろう、大学ジャズ研の出身者、
若井優也さんp、松尾由堂さんg、西川直人さんorg、森田修史さんas の東大グループ、
石田衛さんp、安田幸司さんb、池尻洋史さんb の千葉大グループ。


誰もが認める力量の持ち主で、自分のポジションをしっかりつかんでいる、
野本晴美さんp、類家心平さんtp、中村恵介さんtp、織原良次さんフレットレスb、徳田雄一郎さんtp、横山和明さんds、金森もといさんb、橋本学さんds、紺野智之さんds。


どこか気になるミュージシャンの、かむろ耕平さんg、三科律子さんds。


しばらく聴かないと無性に聴きたくなる、山田貴子さんp。


インストのミュージシャンにはない<声>という武器を持っていて、ちとずるいのではないかと敬して遠ざかっていたジャズシンガーの方たち。口惜しいけど歌声にしびれました、大原都志子さん北浪良佳さん紗理さん


そして、samplerアーチストとして今泉総之輔さんと二人で不思議な音空間を作り上げている、<BMSO>のBlah-Muzikさん。


お声をかけていてご紹介できなかったひとたちには、お許しを願うしかない、
石若駿さんds、須川崇史さんb、福森康さんds、古谷淳さんp、田窪寛之さんp、瀧沢望美さんp、山名ナミさんvo。

こちらの不注意から書きもらした方がいたら、ごめんなさい。

彼ら彼女たちは、文字通り、今の日本のジャズシーンのど真ん中にいて、日々その世界を維持・拡大し、駆動している人たちです。

これからも、ライブを聴かせていただくつもりです。


<ジャズ世にはびこる>
を願うそんな一フアンから、一つだけ、ミュージシャンへのお願いが。

---宮崎駿という人は、どうしたらお客さんが喜んでくれるのかということばかりを考えていました。自分が好きなこと、やりたいことなんってまったく重視していないんです。彼は根っからのエンターテイナーです。

スタジオ・ジブリの鈴木敏夫さんが紹介していた言葉です。

フアンを楽しませることを忘れないでいただきたい。

---変化は、誰も予想しなかった思わぬところからやってくる

という大瀧詠一さんの言葉を楽しみに、これからもライブ徘徊を続けることになるでしょう。

最後に、集英社インターナショナルのHPに、ジャズブログのためのスペースと書く機会を作ってくれた小林さんに、感謝を。

みなさん。
ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。



*編集部注*
各ミュージシャンのリンク記事は当ブログ紹介時のものです。
最新情報は各ミュージシャンの公式サイト等をご確認ください。



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2013年02月28日

PERCUSSION ENSEMBLE

9台のマリンバを12人で演奏するシェーンブルクを聴きにきませんか。

2月14日、埼玉県川口市にある川口リリア音楽ホールで行われた東京藝術大学打楽器専攻生有志によるパーカッションのコンサートに誘われた。

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藝大生によるシェーンブルクか。
現代音楽の父みたいに言われている人じゃなかったっけ。
無調音楽とか十二音階とか、なにやら難しそうだなあ。

日ごろ、酒を飲みながらジャズばかり聴いている人間には、ちと荷が重そうだ。

ホールのコンサートでは、酒は飲めないだろう。
「イエイッ」とかけ声をかけたり、演奏中に思わず拍手をしたりなんて行儀の悪いこともできない。
身じろぎせず威儀を正して静聴していなければならないんだろうか。
いささか引き気味、及び腰で出かけて行った。

キャパ600人の会場はほぼ満員。
だめもとで聞いてみたら、案の定、「客席での飲食はご遠慮ください!!」

演奏が始まったとたん、あれこれの心配はまったくの杞憂であることがわかった。

楽しいし賑やかである。
明るく軽やかである。
すべての演目における演奏・演技は完璧で、思わず声をかけたくなるほどノリがいい。
休憩をはさんでも2時間を超えない演奏時間も、ちょうどよい。

かなりシビアな練習を重ねてきたのだろう。
演奏会というよりは、<シルク・ド・ソレイユ>を観ているような見事なパフォーマンスにすっかり引きずり込まれてしまった。

演目は、以下の六つ。

1. TAMBOURINE SUMMIT
2. Eight in the BLACK
3. Musique de Table
4. グロッケンシュピールとヴィブラフォンのための「オルゴール」
5. サンジェルマンの広場
6. 浄められた夜 (アルノルト・シェーンブルク)

院生から学部1年生の12人が、各種打楽器だけでなく、マリンバやヴィブラフォンまですべての楽器を担当する。
さすが藝大生、何でもできちゃうんだと感心したが、なに、なに、今の若いミュージシャンは何でもできちゃう人たちだった。

1.から3.までは打楽器のみの演奏で、4.以下が、マリンバなどが入ったいわゆる楽曲という構成。

打楽器だけによる前半3曲が、ぼくにはことのほか面白かった。
もちろん、初めて聴くシェーンブルクもほかのマリンバ演奏も面白く聴かせてもらいました。

1.は、鮮やかな朱色のつなぎを着た4人の奏者が、それぞれ1台ずつのタンバリンをもって、舞台上を激しく動き回りながらタンバリンを叩く。
ただ叩くだけなのに、これにも楽譜があるらしい。

「シンプルな編成であるだけに、詳細に奏法が指定されており、構え方、楽器の持ち位置、楽器を打つ指の本数・指以外での奏法・打点、さらには普段は持つだけで十分な役割を果たしている左手も駆使して音を出すと楽譜に記されている」

2.は、スネアドラム(小太鼓)のみによる四重奏曲。
これも観ていて実に楽しい演奏だった。

スネアドラムの「スナッピー(響き線)を効果的に使用している・・・その他にオープンリムショット、クローズドリムショットなど、スネアドラムから出せる音色の全てを取り入れた・・・さらには奏者に様々なパフォーマンスを指定して、聴衆の聴覚だけではなく視覚でも楽しめる楽曲に仕上げた」

一番の見ものは3.。

三つのテーブルの上の小さな光る板を、スポットライトされた白い手が、ダンサーのように踊り、テーブルを叩く。
ただそれだけなのだが、動きとリズムが目まぐるしく変化していく。
一糸乱れぬ6本の手の動きにあっけにとられ、「トントン」という木の板を叩く小さな音に次第に魅了されていく。

人類が言葉を持たない原始時代、コミュニケーションは音によって行っていた、と何かで読んだ。
ぼくの感覚は、おそらくその時代の人間とそう変わっていないようだ。
だからだろう、精妙かつ複雑に構成された楽曲よりも、打楽器から発せられるただの<音>に強く反応してしまう。

東京藝大生有志による打楽器のパフォーマンス、来年もぜひ聴いてみたい。
今回、声をかけてくれた石若駿さんにお礼を言わねばならない。
ありがとうございました。
来年また誘ってください。


(「・・」内は、パンフレットより引用)


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2012年09月27日

東京JAZZ FESTIVAL 2012

<東京ジャズ2012>が、今年も9月7日から9日まで、東京国際フォーラムで開かれた。

国内最大級のジャズ・フェスティバルとパンフにうたわれている。

主催は。
NHK、NHKエンタープライズ、日経新聞社。

後援は。
東京都、文化庁など。

会場は。
キャパ5000人の東京国際フォーラム、ホールA。
The Plaza(会場前広場)。
丸の内COTTON CLUB。

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ジャズフアンで賑わう会場前広場<The Plaza>

公式来場者数は。
The HALL 14,457名
The PLAZA 14,130名
The CLUB 963名
総入場者数 29,550名

野外のロック・コンサートには比べようもないが、3日間で3万名動員した。
近年、ジャズの人気が上昇しているというが、その証し!?

スポンサーは。
TOYOTA、PANASONIC、KDDI、YAMAHA、Daiwa House、MIZUHO銀行、大林組、三井住友海上・・・。

日本を代表する一流企業が<国内最大級>を支えている。
ジャズにこれだけの応援団がいるとはなんとも心強いが、願わくば、一極集中ではなく多極分散してほしい気がしなくもない。

ところで、肝心の出演者は。

 バート・バカラック
 ベン・E・キング+村田陽一BIGBAND
 ボブ・ジェームス・クインテット+松田聖子
 ジョー・サンプル・&ザ・クレオール・ジョー・バンド
 小曽根真+エリス・マルサリス、クリスチャン・マクブライト、ジェフ・テイン・ワッツ
*タワー・オブ・パワー
*バルカン・ビート・ボックス+SOIL&PIMP
*RUFUS+スガシカオ
 TAKE6
 エスペランサ・スポルディング Radio Music Society
 カシオペア3rd
 JAGA JAZZIST
 イブラヒム・マーロフ
 オズ・ノイ
 ギラッド・へクセルマン・カルテット+マーク・ターナー
 JILL-Decoy+平戸祐介、松岡matzz高広(quasimode) 
 大江千里

 And more・・・。


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(1)左から、小曽根真、クリスチャン・マクブライド、ジェフ・ティン・ワッツ

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(2)ベン・E・キング

ボブ・ジェームス&松田聖子(2)rs.jpg
(3)ボブ・ジェームスと松田聖子
(1)〜(3) (C)TOKYO JAZZ FESTIVAL 中嶌英雄/Hideo Nakajima



最大の目玉だった(と思う)ジャズ・ジャイアントのオーネット・コールマンが、体調不良で参加できなかった。
1930年生まれの82歳。
ナマで聴けるラストチャンスだったろうに、残念でならない。
モダンジャズ・フアンにとっては、これがジャズフェス?という顔ぶれで、やや不満もありそうだ。

ラインアップをみて感じることは、新旧、東西、ジャンルを問わず、今の世界のジャズ・シーンをよくここまでそろえたなあということ。
見事に網羅的。
いい意味でNHK的といっていいかもしれない。

これら出演者の名前をみて、ああ、あれか、と、すべてわかる人っているんだろうか。
一応、手元には出演者全部のプロフィールがあることはある。
紹介してもいいのだが、紙数がない。
興味のある方は、オフィシャルHPをご覧になってください。

以上。

以上って、これでおしまい!?
はい、これでおしまいです。

実は、ほぼすべての公演を聴くべく申し込んでいたのだが、突然の痛風の発作で、結局、9日の午後の部(*印のもの)しか聴くことができなかった。
聴かずに印象を書くのも気がひけるのであしからず。

ぼくの聴きたいと思っていて聴けなかった人(オーネット・コールマン/小曽根真/オズ・ノイ)もいたが、たまたま聴けてよかった人(スガ・シカオ/バルカン・ビート・ボックスとSOIL&PIMP)もいる。

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RUFUSと共演するスガシカオ
(C)TOKYO JAZZ FESTIVAL 中嶌英雄/Hideo Nakajima


また来年を、楽しみに期待するとしよう。

放送。
10/16(火)・10/23(火)・10/30(火) 各日23:45-25:14
NHK BSプレミアム


TOKYO JAZZ FESTIVAL 2012 オフィシャルHP


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