2013年01月17日

存分にやれ!! ─ドラマー、紺野智之さん

素晴らしいミュージシャンがいますよ・・・

ピアニストの山田貴子さんが教えてくれた。

ドラマー、紺野智之さん。

紺野 011.jpg

1977年8月生まれ。
福島県出身。
高校、大学を通じジャズ研に在籍。
大学時代、ドラマー原大力氏に師事、演奏活動を開始。
卒業後NYに渡り、ドラマーのカール・アレンに師事、多くのセッションを経験する。
2000年、吉祥寺ジャズコンテストでグランプリを獲得、本格的な演奏活動に入る。
池田篤、石崎忍、岡崎好朗、辛島文雄、佐山雅弘、菅野浩、多田誠司、土井徳浩、中村誠一、西直樹、野本晴美、向井滋春、三木俊雄、山口真文、Stafford Hunterら各氏と共演。
MIHOのリミックス、MAMARAID RAG、小林桂プロジェクトへの参加など、幅広いジャンルでも活動している。
現在、Routine Jazz Quintet(Sextet)でCDをリリース。
タワーレコード、HMVらでジャズチャート1位を獲得。
リーダーバンドも注目。(プロフィールより)


ドラムというパート。
派手そうに見えて意外に地味で目立たない。
ライブを聴きながら、いつもそんな印象を受けていた。

演奏中、一、二度訪れるソロの時しか、自身の存在をアピールする機会がない。
ドラム・ソロを始めると、止まらなくなってしまう(ように見える)人がいるのも、「あっ、この人は日ごろの鬱屈をここで晴らしてるんだな」などとかんぐり、「存分にやれ!!」などと、ついつい応援してしまう。

そんなことを思いながら聴いているのは、ぼくだけなんだろうか。

ご当人たちがどう感じているかはわからないが、フロントでバリバリ演奏するミュージシャンに比べ、バックをつとめるドラムやベースは、どこか縁の下の力持ちという印象がある。

たまに、ドラマーのいないバンドを聴くことがある。
バンドにおけるドラムの存在を強く意識させられるのは、そんな時だ。

ドラムレスの演奏は。

どこか頼りない。
地に足が着いてない、フワフワした感じ。
気の抜けたビールのようにしまりがない。
少し物足りない。
落ち着かない。

ドラムは、ユニットの核なのではないか。
重心。
中心軸。
ものごとのヘソ。
地球のど真ん中、コア。

目立たないようで、なくてはならない存在。
それが、ドラムではないだろうか。

と、思ったりもする。

なんて当たり前のことをいまさら言っても始まらない。
ここは一つ、紺野さんの考えを聞いてみようではないか。

ずばり、ドラムの魅力はなんでしょうか?

・・・リズム、メロディ、ハーモニーが出せる楽器だと思います。
そんな理想を叶えてくれるポテンシャルがドラムにはあると思います。


ドラムは、単なるリズム楽器ではない。
メロディもハーモニーも作り出せる。
ドラムでどんなメロディを、いかなるハーモニーを作り出せるのだろうか。

思いもよらぬ答えをちょうだいした。

その意気やよし、でしょう。

そんな抱負や意気込みを、なんのてらいもなくサラリと言ってくれる。

・・・ジャズは今、厳しい状況にあるけれど、そんな中で、素晴らしい
ミュージシャン達が組んだ、素晴らしいバンドがたくさん出現して来ています。


若い才能が次々と輩出している今がチャンス。
力強く正確、時に軽やかなスティックさばきで、ジャズの世界に新しい変化をもたらすような力業を見せてくれそうな気がするではないか。

新しい世界へ果敢な挑戦を繰りひろげる頼もしいミュージシャン。

紺野智之さんです。

紺野02.jpg


★紺野智之ホームページ

<ライブスケジュール>
・2月5日(火)柏 ナーディス
紺野智之(Ds)/野本晴美(P)/本川悠平(B)

・2月7日(木) NHK FM SESSION2013 公開収録
NHKみんなの広場 ふれあいホール ※放送予定3月17日
↓詳細はこちらへ
http://pid.nhk.or.jp/event/PPG0184701/index.html
紺野智之(Ds)トリオ/野本晴美(P)/本川悠平(B)




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2012年12月14日

カオリン宣言 ─ビブラホン奏者、中島香里さん

中島香里さん。
本欄初のビブラホン奏者です。

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小さい頃からピアノとエレクトーンを習い始める。
中学で吹奏楽部に入部、パーカッションと出会う。
大学卒業時まで、部活、サークル活動でパーカッションの演奏を手がけ、同時に、音階のある鉄琴・木琴などのマレット・キーボードを好んで演奏する。
卒業後、赤松敏弘氏に師事、JAZZ理論とVibraphoneの4本マレット奏法を学ぶ。
現在、都内や首都圏中心にライブ活動を行っている。
リーダー・カルテット「VANGY!!」、フルートとのデュオ「Tirol Fonte」、三管にバイブ、パーカッション、ギターが加わった大編成バンド「Remembers」、ピアノ・ヴァイブ・パーカッションの変則トリオ「conviano」などで演奏。
癒しの音色と激しいプレイスタイルが持ち味で、幅広い表現力に定評がある。
カオリンの愛称で親しまれている。

ビブラホンって知ってますか?

あの木琴や鉄琴の兄貴分みたいな楽器でしょう。
学生時代には、ライオネル・ハンプトンやミルト・ジャクソンが好きでよく聴いてましたよ。
LPで。
オーディオ装置を「電蓄」(電気蓄音機)なんていってた時代ですがね。
よく知ってます。

と、思っていた。
中島香里さんをライブで聴くまでは。

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千葉みなとのライブハウス<CLIPPER>で、大きな楽器と格闘する中島さんを目の前で見て、初めてビブラホンという楽器が分かった。
ような気がした。
小さなからだをたたきつけるようにして演奏する中島さんに、いっぺんに魅了されてしまった。

ビブラホンという楽器。
見た目がいい。
音がいい。
なにもない空間から、ポロリポロリと音の粒が飛び出してくる。
演奏者のプレイスタイルが面白い。

・・・鉄独特の、高い空に抜けるような澄んだ音色が魅力です。一音を出すだけで、独特の景色が生み出される気がしています。

両手に持った4本のマレットが、目まぐるしく鍵盤上をかけめぐる。

右足が忙しくペダルを踏む。
足を使うということを、実は、ぼくは知らなかった。

・・・ただ叩いただけでは「ポン」という音しか出ない。8分音符という音の長さを表すためにペダルを使わないといけない。踏みっぱなしにすると音が濁ってしまう。そこが難しい。

複雑にして精妙。
よく間違えずに、正しいポジションをたたき続けることができるもんだ。

「右に50本、左に50本もある己の足を、いったいどういう順番で動かして前に進んでいるのだろう。そう考えたとたん、そのムカデは一歩も歩けなくなった。つまり、何も考えずに、生物は目の眩むような複雑さをこなしながら生きているのだ」

という話を読んだことがある。

中島さん、演奏中、次はどこの鍵盤を、どのマレットで叩き、どのタイミングでペダルを踏もうか、なんて考えたりしないのだろうか。

何も考えずにかくも複雑なバチ捌きができるようになるまでに、どれほどの練習がなされてきたのだろうか。
厳しいトレーニングが繰り返されたのだろう。

そんな努力のあとなど少しも見せずに、中島さんの手足は自在にビブラホンの上を、「蝶のように舞い、蜂のように(聴く者の心を)刺す」。

ビブラホン独特の美しい音は、そう、聴く者のハートを刺し貫く音でもあるのだ。

参りました。

「ビブラホンは、演奏者の絶対数が少ない楽器なだけに、個人間のカラーの対比・葛藤がより鮮烈である。一人一党的な要素が色濃くでる」(村上春樹「ポートレイト・イン・ジャズ」)楽器らしい。

個人の感性や思い入れが強く発揮される楽器。
一人一党的な楽器。

・・・スイングしたい。いい音色で。いいグルーヴで。
聴衆がぐっとくるような音楽をやっていきたい。


これが<カオリン党>の綱領でありマニフェストだ。

めずらしい楽器ゆえまだ少数党の感なきにしもあらずだが、入党をおすすめしますよ。
入会自由。
ただし、一度入ると抜け出せなくなるおそれがあるのでご用心を。

プロフィールにあるとおり、癒しの音色とそれに反する激しいプレイスタイルが持ち味のミュージシャンです。
まずはライブへ、ぜひ。

★中島香里ブログ「のんびぶらーと」

音楽 中島さんオリジナル曲「Flying Mind」視聴できます!


《ライブ・スケジュール》
・12月30日(日)大塚 All in Fun
conviano:岸淑香pf/中島香里vib/藤橋万記per

・1月6日(日)大久保 Boozy Muse
中島香里vib/安田幸司b/安藤正則ds

・1月22日(火)銀座 No Bird
VANGY!!:中島香里vib/後藤魂pf/吉木稔b/安藤正則ds

・1月26日(土)福生 Jesse James
中島香里vib/吉本章絋ts Duo

・1月27日(日)江古田 そるとぴーなつ
conviano:岸淑香pf/中島香里vib/藤橋万記per


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2012年11月15日

はにかみ王子 ─ギタリスト かむろ耕平さん

ギタリスト、かむろ耕平さんです。

かむろ耕平.jpg

1984年、東京生まれ。
中学2年の時、アコースティックギターを始め、その後ロックに傾斜。
バンド活動のかたわらヤマハ音楽教室で基礎の音楽理論やアドリブを学ぶ。
高校3年生の時、Berklee College of Music(バークリー音楽院)の奨学金を得、卒業後渡米。
在学中は、ジャズの即興演奏を中心に、Hal Crook、Dave Santro、Sheryl Bailey、Bruce Saundersの各氏に学ぶ。
卒業後2年間、ニューヨークでセッション活動を行い、さまざまなミュージシャンと共演。
2009年、帰国。
現在、都内を中心に自己のバンドでジャズ系のライブ活動を行っている。
将棋の対局観戦が大好きで、ときにギターの練習を忘れる。

2年ほど前、守谷美由貴さんのバンドで何回か聴いた。
あれは、バークリーから帰ってきたばかりのころだったのか。

控え目で、少し恥ずかしそうに弾いている、という印象をいつも受けていた。
そんな様子が妙に気になり、<かむろ耕平>を強く意識させられた。

今年の10月、市川のライブハウスで1年ぶりに彼の演奏を聴いた。
守谷さんのライブに、飛び入りで演奏していた。

印象は変わっていなかった。
上体をやや折り曲げて弾く演奏スタイルも、ソロの時でもどこか控えめな様子も、以前と変わっていなかった。

いつも控え目。
それがこの人の特徴であり、この人の魅力にもなっている。

万事控え目、ゆえにかえって目立っている。
不思議なキャラクターのミュージシャンである。

そんな<かむろ耕平>が、ぼくはどうやら好きらしい。

かむろ耕平の弾くギターが好きなのか、
ギターを弾くかむろ耕平が好きなのか。

よくわからんが、おそらく両方なんだろう。

一風変わった魅力を持ったギタリストである。

かむろ耕平2.jpg

1年前、彼の音楽観や目指す方向などについていくつかの質問を送った。
答えはもらえなかった。

・・・まだミュージシャンというものに半ば憧れてるだけ、のような感じなので、少し語るのも恐ろしかったんですが、それも小さな自惚れだったかなとも思います。

と、最近のメールで答えてくれた。

早熟なミュージシャンの若々しい自負と、待ちかまえる未知なるものへの怖れがないまぜになった、<かむろ耕平>らしい心情の吐露と、読みました。

外向きのベクトルをもった高圧マグマを、内に大量に抱え込んでいる。
それが噴出する日が、いつか必ずやってくる。

芯の強さを秘めたミュージシャン。
そんな気がしてならない。

釣と猫が大好きだ。

捨てられていたノラを拾って育てている。
少し前の写真入りブログに書かれている。

・・・こいつは先々月あたりに生まれ、捨てられるも拾われ、家に引き取られたラッキーボーイ。毎日食って遊んで糞して寝るを繰り返している。
存分にやってくれ!


釣に行きボウズ(釣果ゼロ)だった時に出会った別のノラには、

・・・すまん。何もないんだ。小イワシ一匹も。ボウズなんだ。サヨナラ。

岸壁らしきところにうずくまるノラが、なんとも憐れで去りがたい。
添えられた写真が、撮影者のそんな思いを伝えている。

「この先、ただの猫ブログになっていきそうな」と嘆いている(喜んでいる)カムブログ。

この人の文章は、音楽家らしいリズム感と思いもよらぬ言葉の用い方が独特で面白い。
この人のギターを特徴づけている聴くものの心をくすぐり、かき回し、気をひき、こちらがその気になるとふっと離れていく。
聴いている人間を翻弄する不思議な<言葉使い>と、どこか共通するものがありそうだ。
先日、<リメンバーズ>というグループで弾いていた彼の演奏を聴きながら、そう感じていた。

かむブログ。
更新頻度が高いとはいえないけれど、一読をおすすめします。
そして、ぜひライブを聴いてみてください。
彼の魅力がよくわかるはずです。

心やさしきはにかみ王子。

かむろ耕平さんでした。

☆かむろ耕平ブログ<かむブログ>

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