2011年11月25日

ヴォーカリスト─大原都志子さん

高知県出身。
もともと、ロックやポップスを歌っていたが、2003年、ジャズに出会い引き込まれていく。2005年、高田馬場<GATE ONE>の梶原まり子(vo)橋本信二(g)夫妻に出会い師とする。
2009年、ジャズ・スポット<セロニアス>を、中野から現在の東中野に拡大移転。
ミュージシャンに活動の場を提供しつつ、自身の歌手活動を続けている。

書道をよくし、梅原清山師に学び、謙慎展、読売書法展などで入選、受賞。
現在は活動休止中。

ジャズ・シンガー、大原都志子さん。
本コラム、初めてのヴォーカリストです。

大原都志子2.jpg


歌手を取り上げてこなかったのは、本欄が、若いジャズ・ミュージシャンの紹介を目的として始めたものだからである。
もうひとつ、理由めいたことをあげるとするならば、表現手段として、抽象的な<音>しかもたない器楽演奏者にくらべ、具体的な意味をもつ<言葉>が使える歌手は、どこか楽をしているという気が以前からあったためだ。
<インスツルメント>と<ヴォイス>を比較しても意味がない。
管見・偏見を承知しつつも、あえて触れずに済ましてきた。

今回、大原さんを取り上げたのは。
いずれジャズシンガーを取り上げるならこの人が最初と、かねがね思っていた。
個人的な思い出がいくつかあるためである。
個人的な思い出といっても、人もうらやむ灼熱の恋物語や、人目をしのぶ許されぬ愛、なんてものではない。
残念ながら。

何回かゴルフのお付き合いをした。
<PIT INN>の帰りに、寿司をつまんだこともある。
大原都志子さんのライブも、かなりの回数聴いている。
ぼくの好きな「ジャニー・ギター」や「テネシーワルツ」、つい最近聴いたばかりの「ハッシャバイ」などは心に残る名唱で、気がつくと、わが家でひとり、猫を相手に口ずさんでいたりする。

以前は、少し肩に力が入り、懸命さが表に出る唄いぶりだった。
先日、久しぶりに聴いた印象は、ずいぶん変わったなあというものだった。
力みがまるで見られず、軽やかにまろやかに、それでいて深みを感じさせる歌いっぷり。
言葉のひとつひとつが、すーっとこちらのからだに入り込んでくる。
歌詞がはっきりと聞きとれる。

歌手も変化していく。
その変化が、過ごしてきた時間のなかの楽しかったこと、悲しかったこと、つらかったことの体験が歌に命を吹き込んだものなのか。
体験が歌を深化させるものならば、歌もまたなんと苛烈な表現行為なのだろうか。

ご本人が好きなのは、アントニオ・カルロス・ジョビン。
「This masquerade」や「Born to Be Blue」などをよく歌うそうだが、ぼくはまだ聴いたことがない。次のお楽しみだ。


そうそう、こんなこともあった。

数年前、アフリカ行きを誘われた。
セネガルで行われるアフリカン・ダンスとドラムのワークショップに参加しないか、というお誘いだった。
まだ見ぬアフリカということで、すっかりその気になっていたが、直前になってお断りした。
テレビの動物番組を見ていて、あることに気がついたためだ。
アフリカに棲息する大型肉食動物の捕食行動は、子ども、年寄り、怪我や病気のもの、群れからのはぐれものなどを、エサとして捕えるというものである。

上にあげた属性は、子ども以外ほとんどぼくに当てはまる。

間違いなく年寄りである。
人付き合いが下手なはぐれものである。
アルチューハイマー(アル中+アルツハイマー)の兆候が顕著で、体調だって万全とは言いがたい。
みんなぼくのことではないか。
彼ら、捕食動物にとって、これほどおあつらえ向きのものはない。
大原さんがぼくを誘ったのは、いざというとき、猛獣の餌としてぼくを置き去りにし、さっさと安全地帯に逃げ出すタクラミだったのだ。
ということにハタと気がつき、お断りした。
半分ジョーダンみたいな話だが、半分は本気?!
いまでもそんな夢をみて、ときにうなされる。

アブナカッタ。
食物連鎖の最下位者として提供されるところだった。
いま思えば、それも悪くなかったかな、という気がどっかにある。
ライオンに食われるのは、死に方としては悪くない。
ライオンじゃなく、ハイエナはちょっといやだけどね。

あとで聞くと、ピアニストの野本晴美さんやサックスの竹内直さんがご一緒だったとか。行きゃよかったと、いまでは後悔しています。

<草書体>美人とお呼びしている。
内面は、<楷書体>のような強い気持ちをもった人、かな。
おしゃれで居心地のいい店には、いつも二匹の愛犬がいる。
曲の合間の拍手にあわせ、ワンワンと鳴いてみせる。
時おりフライングもあるが、気のせいか、その鳴き声が演奏中のコード進行に微妙に合ってるようにも聞こえ、違和感を感じさせない。
という人もいる。
犬のいるライブハウスとして、ミュージシャンにはつとに有名だ。

JR東中野駅のまん前、徒歩1分のところにある素敵なお店。
吠えられても食われる心配はありません。
ご安心を。

セロニアス.jpg
♪Jazz Spot THELONIOUS

≪THELONIOUS ライブ・スケジュール≫
・12月8日(木)
守谷美由貴as/石田衛p/池尻洋史b/今泉総之輔ds

・12月18日(日)アフリカンナイト
竹内直ts/野本晴美p/ワガン・ンジャイper/アブライ・ンジャイper

・12月19日(月)
林栄一as/纐纈雅代as/佐藤えりかb/伊藤啓太b

・12月22日(木)ロックジャズ
大原都志子vo/成川修士g/嶌田憲二eb/上村計一郎ds

・12月23日(金)
類家心平tp/浅川太平p

posted by 松ぼっくり at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミュージシャン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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