ジョン・オズボーンやコリン・ウィルソン、アラン・シリートーらの文学運動に端を発し、社会運動にまで広がり、世界中の若者に影響を及ぼした。
今回は、日本の<悩める若者たち>である。
インタヴュー・カルチャー・マガジン<SWITCH>8月号が、ジャズの特集を組んでいた。
![SWITCH Vol.29 No.8(2011年8月号) 特集:新訳ジャズ [大型本] / 新井敏記 (著); 菅原豪 (編集); スイッチパブリッシング (刊) SWITCH Vol.29 No.8(2011年8月号) 特集:新訳ジャズ [大型本] / 新井敏記 (著); 菅原豪 (編集); スイッチパブリッシング (刊)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/61hMrEUvUxL._SL160_.jpg)
かつては、<月刊PLAYBOY>などがジャズ特集を組んでいたが、この雑誌も、もうない。
残念なことだが、ジャズを扱うメディアが少なくなってしまった。
わずかに残されたジャズ専門誌は、業界外への発信力が弱く、そのための試みにも無関心である。ように見受けられる。
専門誌は、こういっちゃ申し訳ないが、「業界誌」ないしは有料の「業界回覧板」みたいなもんで、せまいジャズシーンをますます狭めることに熱心で、ジャズ・ファンからさえもそっぽを向かれかねないのが現状だ。
だから、一般誌が、時にジャズ特集を企画してくれるのは、ジャズ・ファンにとっては、ほんとにうれしいことなのだ。
ジャズに対する好奇心がまだまだ存在しているということの証でもあるわけで、もっと頻繁に取り上げてもいいんじゃないかと、これはま、ぼくの勝手かつ心から
なる願いです。
注目すべき記事がある。
有名ミュージシャン中心の専門誌では決してお目にかかることができないもの。
若手ミュージシャン6人による座談会だ。
「ぼくらに未来はあるのか」
フレットレスベースの織原良次さんの肝いりで実現した企画である。
出席者は、早川惟雅as、井上銘g、須川崇志b、石若駿ds、若井優也p。
31歳の織原さんが最年長で、10代の石若さん以外は全員20代。
今のジャズシーンを支え牽引している、誰もが認める実力派ばかりである。
ちなみに、若井優也、早川惟雅、井上銘の3人は当コラムで紹介済みだし、織原良次さんは前々回登場願った。石若駿、須川崇史のお二人にもお願いしている。近々ご紹介できるだろう。
このコラムは、いまをときめく若い才能をほぼパーフェクトにカバーしている。
担当者たるぼくの目もすてたものではない。
ということはまったくなくて、なに、みんなミュージシャンの紹介によるもの、当方の眼力とはなんの関係もない。
前置きが長い。
座談会の話だった。
座談会を読むと、全員がいまのジャズシーンに対する危機感をもっていることが、よくわかる。
・・・クラシックに比べて、ジャズを聴く人が圧倒的に少ない
・・・若い人が聴いてくれない
・・・年配者か楽器をやっている人しか聴いてくれない
・・・レストランや飲み屋のBGMになってしまっている
・・・ジャズは地味だし、抽象的だ
・・・発信力が弱い
確かにそのとおりだろう。
そうかもしれないが、といって、グチを言っても始まらない。
意地の悪い言い方かもしれないが、そんなことわかって入ってきた世界じゃないんですか。
クラシックのリスナーが多いというけれど、コンサートでは、クラシックもジャズもよく入っている。
先日の東京JAZZフェスでは、キャパ5千人の東京国際フォーラムが、三日間満員だった。
BGM?
いいんじゃないですか。
需要があるというのは、素晴らしいことだ。
なけりゃ、BGMだって流されない。
とはいえ、現状、キビシイッ!! のは認めざるをえないだろう。
冷静に見れば、冷静に見なくとも、時に悲観的になるのも無理はない。
ぼくらに未来はあるか?
あるかもしれないし、ないかもしれない。
そんなことは誰にもわからない。
だから面白いんじゃないですか、という発言もある。
結局は、自分たちで打開していくしかないんだよな。
9月末、バークリーに留学する早川惟雅さんがこんなことを言っている。
・・・向こうでは、実はプレイヤーとしてではなく、音楽マネジメントとかプロデュースのことを勉強したい
かつ目すべき発言でしょう。
マネジメントやプロデュースの勉強に行く。
こんなことを言って、バークリーに行った人はいない。
こんな発言が飛び出すほどに、ジャズをとりまくインフラは貧弱なんだ。
制作面においても、流通・販売面でも、音楽インフラはあって無きがごときが実状でしょう。
音楽としてのジャズそのものの力だけでは、ひろがりに限界がある。
音楽インフラの新しい展開なくして発展は期待できない。
早川さんは、そこをなんとかしなくてはという、従来のミュージシャンにはない視点を持って留学する。
なんとも頼もしい。
名前のクレジットにこだわらずに出した、若井優也さんプロデュースのCD「しあわせな夢のジブリ」も良く売れている。
先ごろ、二枚目が発売された。
未来は切り開くしかない、んだよね。

