2011年07月08日

HIPHOPな世界

宇宙は、我われがいる宇宙のほかに、いくつもの宇宙が存在している。
そういう理論を唱える学者がいる。
宇宙は、<ユニ(ひとつ)バースuniverse>ではなく、<マルチ(多)バースmultiverse>なのだ。
およそ想像もつかぬ世界だが、そんな話を聞くとなんだかわくわくする。

今泉総之輔さんのHIPHOPを聴き始めてもう4〜5年になる。

6月14日。
大久保 Boozy Muse
今泉総之輔ds/佐久間淳p、kb/blah-muzik sampler

hiphop.jpg

今泉総之輔
あらためて説明する必要もない、人気ジャズ・グループ<quasimode>をフランチャイズにたくさんのミュージシャンとセッションを行っているドラマー。

●佐久間淳 
池袋のMiles Caféで初めて聴いた時から好きになったピアニスト。なぜかは知らぬが、らしからぬ風貌のせいかもしれない。帰りしな、着けていた「熊の手」のピンバッジを進呈する。ぼくよりも佐久間さんに似合いそうだ。日ごろ、<オーバル><ババノア>などで演奏している、ジャズもHIPHOPも両方できる貴重なピアニスト、とは今泉さんの紹介。

blah-muzik
samplerとしてのキャリアは長い。音楽の捉え方が広く、ライブも数多くこなしている。なんせカッコイイ。


演奏の合間に、「なぜHIPHOPなのか」という今泉さんの説明があった。
これってけっこうめずらしい。
以下、<>内はその引用です。

何の前ぶれもなくblah氏が位置に着き、電気音が静に鳴り出す。
「チューニングかな」と一瞬思ったが、samplerにチューニングはないよな。
楽器じゃないんだから。いやまてよ、あれも楽器か。
小さな機械の上を両手が忙しく動き回る。
加工された電気音なのだが、電気音特有の神経を逆撫でするような不快感はない。
取り込んだ音が良いのか加工技術が良いのか、おそらく両方なのだろう、blah氏の音は聴いていて心地よい。

しばらくして、ピアニストが登場する。
<メロディーもなくサビもない>せいか、いつも聴いているジャズとは趣が違う。
目の前に、音の塊がどさんどさんと投げ出されてくるような存在感がある。
時に威圧感さえ感じられる。

最後にドラマーが席に着く。
手数が多く、歯切れのいい、小刻みなドラム音が二人の間に滑り込んでくる。

楽譜はない。
それぞれがそれぞれなりに、音を紡ぎ出していく。

<これでもけっこうリハをやってるんです>

不思議な音楽空間である。
三人がそれぞれの音楽空間で、ひたすら<音のエキス>を追い求めていく。
アンサンブルを意識したりはしないのだろうか。
<音のエキスがあるだけで、曲はやっていない>とは、こうゆうことなのか。

<普段、ジャズなどをやっていて、それだけでは足りないというかちょっと違うという感じがいつもある>

ミュージシャンなら誰しもが持っている本能ともいうべき感覚だろう。
ジャズをやりつつ、なお<HIPHOPをやっていかないといけないな>との思い。
それが、年数回のライブにつながっていく。

<雨の降り続く音やパイプオルガンのような、継続して鳴り響いている音をドローンという。ドローンが鳴っているような音楽とか、不協和音が大好きです>


そういえば、宇宙には「宇宙背景放射」というのがあった。
アメリカの電話会社ベルの二人の研究員が、アンテナに継続して飛び込んでくる雑音をチェックしているうちに、偶然発見した。
二人はこれにより、ノーベル賞を受賞した。
ビッグバンの確かな証拠として、のちに観測衛星COBEによりみごとに可視化された。

絶え間なく送り届けられる継続音、雑音とも思える不協和音。
145億年の彼方から届く、これぞまさにドローンではないか。

三人の作り出す音の世界は、宇宙に似ている。
三人なりの宇宙。
マルチヴァース。
わずかな干渉波を出しつつ、互いを制約せず、継続音を発し、空間を押し広げつづけていく。
HIPHOPは饒舌ではない。時に無口でさえある。
静に、絶え間なく、どこまでも拡散していく。

演奏を聴きながら、そんなことをイメージしていた。

宇宙とHIPHOP との相同・相似。
こじつけと言われるかもしれないが、こんな聴き方があってもいいだろう。
今泉さんのプロフィールにある<フリーフォームのループを完成させたい>ということの意味が、少しだけわかったような気がしたが、違うかな。

最後に、天文学の最新トピックをもう一つ。
オリオン座の赤い星「べテルギュウス」が、間もなく超新星爆発を起こす。
地球から640光年という至近距離にあるため、爆発の影響が地球にも及ぶのではないかと心配されている。
べテルギュウスの回転軸が地球方向とわずかにずれているため、致命的なガンマー線直撃は避けられるようだが。

なんかHIPHOP的な話で面白い。



posted by 松ぼっくり at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミュージシャン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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