
1983年生まれ。京都府出身。
ピアニストを母に持ち、幼少時から音楽に慣れ親しむ。
高校時代、アメリカに留学。
同校で知り合ったJohn Gilesの影響でベースを始める。
帰国後の2003年、国立群馬大学に入学。ジャズ研に入り、ジャズ・ベーシストとしての活動を開始。
2007年、東京工業大学大学院に入学、化学工学専攻、プラズマ・ケミストリーを研究。
2009年同校を「優秀な成績で」卒業するも、在学中、素晴らしい仲間に恵まれ、音楽に魅せられ、ジャズへの道を志す。
現在まで、多くのミュージシャンと共演。力強いユニットと唄心に定評がある。
首都圏を中心にリーダーバンドや様々なユニットで活躍中。(プロフィールより)
何気なく点けたテレビが、キーウィの話をやっていた。
ニュージーランドの国鳥のあの<飛べない鳥>である。
飛べない鳥キーウィは、かつて<飛べる鳥>であった。
祖先はオーストラリアに棲息していたが、ある日、海を飛び越えてニュージーランドにやってきた、というのである。
そんなことが、最近の分子生物学や遺伝学、地質学の研究でわかってきた。
それがどうした、ということでもないのだが、金森さんのオリジナル曲に「キーウィ」というタイトルがあることを、テレビを見ながら思い出していた。
金森さんの演奏を初めて聴いたときから、その人柄に惹かれるものがあった。
人柄がそんなにすぐにわかるはずもないのだが、第一印象というやつでしょう。
それに、人柄より演奏を好きになってくれ、と言われそうでもある。
力強く、よく響く、大きな音にも大いに驚かされたが、物静かでシャイな、突然面白いことを話して周囲を笑わせる、あたたかな心配りをさりげなくみせる、そんな人となりが強く印象に残ったものでした。
あるライブで、満員のお客さんにみずから椅子を運んでいる姿を目撃した。
そんなことをするミュージシャンなんて、見たこともない。
何回か聴いているうちに、内に、たくさんの秘めたものを持つミュージシャンだな、ということも次第に見えてきた。
そんな風に思わせる人なのだ。
コラムを書くにあたって聞いたいくつかの質問に、これほど多く語ってくれた人も初めてである。
ただし、回答は3ヶ月待たされた。
マイペースな性格なもんで、という注釈が付いていた。
当方のつまらぬ感想など抜きにして、金森さんの肉声をご紹介しよう。
かなり長いものなので、骨子のみなのが残念ではあるが。
今一番やりたいことは?
・・・やりたい音楽はたくさんあって、ひとつにしぼるのは難しい。ファンクやポップスなどジャズ以外の音楽にもどんどん触れていきたい
・・・最終的にやりたい音楽はジャズですが、今は、いろんな音楽を通して自分自身の音楽観を成長させていきたいと思っている
聴いてもらいたいポイントは?
・・・唄うベーシストでありたいと思います。ベースラインもベースソロももっと唄うように弾きたいけれど、なかなか難しい
・・・ベースという、サポートがメインの楽器でも、自分の音楽を発信していきたい。成長してゆくところを聴いてハッピーな気持ちになっていただければうれしい
・・・こだわるのは、何かを感じてもらえて、その結果、何か暖かい、楽しい気持ちになってもらえるようにという点です
ジャズの魅力は?
・・・ジャズは、言葉は通じなくてもセッションすればすぐ仲良くなれるグローバルなコミュニケーションツールともいえるが、3分待てばできるカップラーメンではありません。おしゃれなBGMでもない。
・・・ジャズは瞬間芸術、二度と同じ演奏は聴けない貴重なナマモノです。瞬間を、ぜひ生音で楽しんでいただきたい
ご両親の猛烈な反対を押し切って音楽の世界に飛び込んだ、ジャズに対する熱い思いが伝わってくる。
・・・ジャズはいつも新しい
きっぱり言い切る金森さん。なんとも頼もしい。

ベースは、200年前に製作されたチェコ製。
来歴はわからないそうだが、何人かの音楽家の手を経て、21世紀の今、金森さんの元にたどり着いた。
可愛くてたまらない。心配でもある。
休憩時間中も、傷つけられないかと何度も覗きにくる。
そんな愛器をいとおしそうに抱き、メロディが印象的なオリジナル曲をていねいに弾いてくれる。
ぼさぼさ頭がキーウィに似て、なんか、おかしいおかしい。
ベーシシスト、金森もといさんであります。

左から、田窪寛之p/金森もといb/今泉総之輔ds
★ベーシスト金森もといのページ
≪ライブスケジュール≫
●6月19日 大久保 Boozy Muse
江本翔pf/上杉優tb/金森もといb/長谷川ガクds/
●6月23日 東中野 セロニアス
平尚明g/増田実佑p/金森もといb/福森康ds/
●6月24日 阿佐ヶ谷 マンハッタン
平山順子as/金森もといb/永山洋輔ds/