2011年04月13日

ポジションは消失点─ベーシスト 安田幸司さん

本コラム初めてのベーシストです。

安田幸司2.jpg


安田幸司(Koji Yasuda)
1976年11月3日生まれ。O型。
千葉大学入学と同時にベースをはじめる。山下弘治氏に師事。
在学中から同世代のミュージシャンとセッションを重ね、シーンに姿を現し、多くのミュージシャンと共演を重ねる。
包容力の有るベースサウンドと安定したグルーブで、共演者を支える暖かいプレイが好評。現在は、TOKU(vo/flh)、川嶋哲郎(ts)、辛島文雄(pf)、石田衛(pf)、田窪寛之(pf)、山田貴子(pf)、福井亜実(pf)のバンド等で精力的に活動中。(プロフィールより)

山田貴子さんのトリオで初めて聴いた時の印象は、
・・・あっ、ベーシストだ!
だった。

目の前でベースを弾いてる人を見て「あっ、ベーシストだ!」もおかしな話だが、そう感じたのだからしかたがない。

yamada takako2.jpg
・・・左から、長谷川ガク、山田貴子、安田幸司。三人とも千葉県出身。
ご当地的ひいき感情がないといえばうそだが、そんなこととは無関係なバリバリの実力派ぞろい。多忙である。

ミュージシャンと楽器はフカーイ相関関係にあるようで、とまあ勝手に思っているのだが、例えば、ドラマーは、どっしりした中肉中背タイプ。威勢がよくエネルギッシュで、祭りを盛り上げるいなせなあにさんみたいな人が多く、トランペッターは、特殊部隊の尖兵みたいな研ぎ澄まされた神経の持ち主が、サックス奏者は、毎日をカラフルでにぎやかに過ごす派手めな人がよく似合う、なんてことを思ったりする。
ピアニストは手品師か。
その伝で言うと、ベーシストは、痩身長躯。手足が長い。物静か。演奏中もなにやら「哲学している」。
控えめだがシンが強い。といった感じの人が多い。

安田さんを見て「あっ、ベーシストだ!」は、つまりはそういうことなのです。
ぼくのイメージするベーシストそのもののような感じの人なのです。

それにしても、あの指の長さは尋常じゃない。
普通の人の二倍!? はありそうだ。
指の長い人がベーシストになるのか、練習の結果、突然変異したものなのか。
「背伸びしていれば、いつか背は伸びる」という寺山修司の言葉なんか思い出したりして。

安田指.JPG

楽器だってそうでしょう。
優雅で威厳に満ちたピアノや、キラキラした自己主張で突っ張っているドラムにくらべて、ベースはどこか控え目だ。
いつも屈託ありげな巨体をもてあまし、ゴロリと横になっている。
そんなベースの寝姿が大好きで、少しはやめに出かけては<楽器たち>を眺めている。

安田b.JPG

万事控え目。
ながら、演奏が始まると、ベースこそがいまここで作り出されている世界の中心なのだ、ということが分かってくる。
ベースが刻む確かな鼓動が、音楽空間の隅々にまで生きた血液を送り届け、バンドは力強い有機体となって躍動し続けることができる。
楽器の配置をみても、そのことはよくわかる。
おおむねピアノとドラムにはさまれて位置するベースの<場>は、客席から見ると、遠近法でいう消失点にあたる。
すべてのものは、その一点に集束される。
逆の言い方をすれば、すべてはその一点から放射されている。
世界の中心なのだ。なのですよ、ベースは。


安田さんのベースを聴いていて、いつも思うことがある。
それは、いつかあんなふうにベースを弾いてみたい、ということだ。
ほかの楽器では感じたことのない思いです。

・・・ジャズの魅力は即興演奏にある

そこに全力を投入しつつ、バンド全体をしっかりと支えていく。
長い指で弦を滑らせ、「ヒューン」と鳴らす。

自分も一度弾いてみたい。
あんなふうに弾けたらさぞかし愉しいだろう。

そう思うのは、ベースという楽器に惹かれてのことなのか。
<安田幸司>というベーシストの醸し出す雰囲気に魅せられてのことなのか。
それはわからない。
わからないが、安田幸司は、聴く者の心を揺さぶりくすぐるベーシストであることは間違いない。

安田、山、類.JPG
左から、類家心平(tp)、山田貴子(p)、安田幸司(b)、Masa Ogura(ds)

《ライブ情報》
●6月14日(火)東中野 セロニアス
安田幸司b/菊池太光pf/柵木雄斗ds
※リーダー・ライブ


★安田幸司official web site


posted by 松ぼっくり at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミュージシャン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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