2011年01月31日

なぜか気になる─ドラマー・三科律子さん

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三科律子さん

1981年5月生まれ。
東京都出身。
高校ではヒップホップ・ダンスを。
東洋大学に入学、ジャズ・サークルに入りドラムを始める。

大学からのスタートはめずらしい。
2005年、ライブ活動を開始。
山本剛、寺下誠、安保徹さんなどと共演。
2007年<BIANCA>、<MyaaM>、2008年怪老ベーシスト鈴木勲さんの<OMASOUND>に加入。現在、藤原幹典バンドなどで演奏活動を続けている。

 *

ミュージシャンにもいろんなタイプの人がいる。

超絶技巧で圧倒する人。
眠気を誘うようなスローな演奏ながら、決して寝かせてはくれない人。
演奏が、おしゃべりな人。寡黙な人。
アクション・ペインティングならぬ派手な所作のアクション・プレイが好きな人。彫像のようにまるで動かず演奏する人。
うまい人。それなりな人。
こわい人。やさしい人。

見ているだけで面白い。

なかに、<気になる人>というタイプがある。

守谷美由貴さん率いる女性ファンク・バンド<MyaaM>でドラムを叩いている三科律子さんがそう。
このバンド、3管+ピアノトリオの6人編成。
ノリのいい演奏が好きで、よく聴いていた。
残念ながら、今年から、年に1、2回のライブ活動をするだけへと縮小されてしまった。

いずれ劣らぬ猛女(失礼)ぞろいのなかで、三科さんは、いつもどこか目立たぬところにひっそりといた。
なじかはしらねど、いつも彼女のことが気になっていた。
初めて聴いたときからそうだった。
今でもそうである。
小柄で細身、ショートカットの三科さんは、ウィーン少年合唱団の中にいてもなんの違和感もなさそうに見える。
演奏中、口を丸く開け、ぼくは秘かに「南極ちゃん」と名付けていたが、懸命にスティックを振り続けるひたむきなところにひきつけられていたのだろうか。
フシギな雰囲気をお持ちのミュージシャンである。

なぜ気になるのか、いまだにわからない。
そりゃそうだ。
わかってしまえば気にならない。

三科さんにしてみれば、なんの役に立ちそうもないぼくのようなじいさんに気になられてもしかたがない。
エライ人、金持ち、実力者・・・。
そんな人たちが気にしてくれれば、新しい道がどんどんひらけるだろうに。


まあいいや。

それはそれとして。

ものの広がり方について、数をからめたこんな話を聞いたことがある。
一人の人間が興味を持つということは、同じ興味をもつ十人の(オーダーの)人間がいる。
世の中とは、そういうものらしい。
ただ、あるものが世に広まるためには、十のオーダーではだめで、百でまあまあ、千のオーダーまでふくらむとまずは成功、ということになるんだそうだ。
マーケティングの専門家と書籍の売り上げについて話していたときに聞いた話。

三科さんを気にしている人間が一人いるってことは、ほかに十人、二十人の人間がいるっていうことか。

<気になる人>と思われる。
これは一つの才能です。
気にもされない人だって、世の中にはたくさんいる。
だから、これはそれだけで、とてつもなくすごいことなんですよ。きっと。

人より少し遅かったが、ジャズの「かっこよさ」、「自由さ」、「新鮮さ」に魅入られて飛び込んだ世界である。

 ・・・自分が感動したものを、いつか自分の形で表現できるようになりたい

立派な目標も持っている。


三科さんが、ひまを見つけては練習に通っている浦和の秋ヶ瀬公園にお邪魔した。

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誰もいない夕暮れの公園で、一人黙々とドラムと向き合いスティックを振る三科さんがそこにいた。

 ・・・真夏の暑いときなんか、どろどろになっちゃって。
 とても人様にお見せできる姿ではないんです


と、笑っていた。
<気になる人>の一部を見せてもらったような気がした。

十や二十なんてちっちゃなことは言うまい。
千や万のオーダーへと大きく広げていきましょうや。

いつまでも<気なる人>でいてほしい。
そして、天までとどく大きな<木になる人>でいてほしい。
なんてことを願いつつ・・・


≪ライブ情報≫
2月2日【藤原幹典カルテット】 市川 トラッシュ 
2月3日【PLAY GIRL】赤坂 November Eleventh
3月23日【加藤則子カルテット】 池袋 INDEPENDENCE


posted by 松ぼっくり at 11:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | ミュージシャン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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