
中村恵介さん。
トランペット、フリューゲルフォーン奏者。
1977年生。横浜市出身。
横浜市立港南台中学ジャズオーケストラ部でトランペットを始める。
東海大学ジャズ研に所属、西尾健一氏に師事。
4年次、早稲田大学ハイソサエティーオーケストラに在籍。
卒業後、プロ活動を開始し、「中村恵介Withコンヴォイ」結成。
現在、東京、神奈川を中心に演奏活動を続けている。
第30回山野BIGBAND JAZZ CONTEST優勝、2001年吉祥寺JAZZCONTESTグランプリ・オーディエンス賞、同年浅草JAZZCONTEST金賞受賞。
中村恵介さんの吹くトランペットが好きで、この2年間で10回以上は聴いている。
自身のリーダーバンドで、<電気マイルス>や<電気抜きマイルス>を吹いていても、ほかのバンドで<どジャズ>を吹いていても、この人の演奏には、リスナーの気分を心地よくさせる何かがある。
と、いつも感じている。
フォームのいいピッチャーの投げる球が、白い糸をひいてスーッとミットに吸い込まれていく。
いつもそんな光景を思い浮かべながら聴かせてもらっている。
変則的なフォームで打者を威嚇したり、フォークやナックルボール、ファスト・スプリットボールなどといった変化球で目くらましをかまそうとはしない。
投げても高速スライダーぐらいかな。
真っ直ぐ、ズドンとこちらの聴覚を刺戟し攪拌し挑発する。
回転のいいボールがいい音をたててミットにおさまるように、中村さんの音は、聴くものの脳ミソに心地よい電磁パルスを送り届けてくれるのだ。
それがなんとも気持ちよく、また聴きたくなってしまう。
後引き恵介さんと秘かに呼んでいる。
こう書くと、なんかつるっとした、ただきれいなだけの音かいな、と思われるかもしれないが、そんなことはない。
以下、ライブで感じるぼくだけの印象かもしれないが・・・。
中村恵介というミュージシャンは、フォームもきれいだが性格も真っ直ぐな人である、とお見受けしている。
そう感じさせる場面にときどき遭遇する。
演奏中、自分の感情を、比較的、表に出して演奏するタイプとでもいうのか。
時にいらいらし、時に中っ腹をたてる。
思うようにいかないときは焦燥感に身もだえし、もっともっとと逸る気持ちが全身を覆う。
ジャズの認知度の低さに対する苛立ちなのか、リスナーの理解度の低さへの不満なのか。
演奏者の性格が音に現れるなんてことがあるかどうかは知らない。
知らないが、演奏中のそんな挙動が、中村さんの吹く音にある種の彩り、陰影を与えているのは確かである。
それがとても面白く、彼の困ったような顔が見たくて、繰り返しライブに足を運ぶことになる。
本年度、ノーベル化学賞を受賞した鈴木章さんは、
「複数の正解がある国語より、論理的に一つの答えが導かれる算数が好き」
で、科学の道に進んだという。
困ったことに、ジャズには一つとして正解がない。
一つは当然、複数の正解すらもない。
中村さんが、ジャズの生命力の根源と考えている<即興>という厄介な問題もある。
ミュージシャンにとっては、日常会話のように至極当たり前に通じ合える<即興>は、リスナーにとっては外国語のようなものなのだ。
これをどうリスナーに理解させ楽しませることができるのか。
これにも答えはない。
そんな無間地獄のような道を選んだ以上は、その中で苦しみ、焦り、逸り、苛立つのは、しかたがないことでしょう。
点数をつけようがないものに取り組んでしまった結果です。うんと悩んでください。
ぼくは、そんな中村さんをもっともっと見てみたいと思っていますので・・・。
《ライブ情報》
11月24日(水)新宿「PITINN」昼の部
中村恵介SESSION
中村恵介tp/早川惟雅as/菊池太光p/若井俊也b/柴田亮ds
11月24日(水)目黒「Jay J‘s Cafe」夜
GEBERATION GAP
鈴木良雄b/中村恵介tp/山田拓児as/ハクエイ キムp/大村亘ds/
11月30日(火)東中野「セロニアス」
中村恵介Quintet
中村恵介tp/浜崎航ts/石田衛p/秋田紀彰b/福森康ds/
12月14日(火)東中野「セロニアス」
中村恵介SESSION
中村恵介tp/吉田智g/高橋佳輝eb/柴田亮ds/
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