2010年10月29日

拍手のルールを知っていますか

N響の首席オーボエ奏者兼指揮者、茂木大輔さんが書いた『拍手のルール』です。
クラシック音楽の話がほとんどだが、ジャズについても少しだけ頁を割いてくれています。

拍手のルール―秘伝クラシック鑑賞術

拍手のルール―秘伝クラシック鑑賞術

  • 作者: 茂木 大輔
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2008/04
  • メディア: 単行本



 *

クラシック音楽ってなんだか知ってましたか?

コンサート・ホールで、オーケストラが、指揮者の振る棒に従って演奏する。
おおかたの人の理解はこんなものでしょうか。
実は、「クラシック音楽」には、次のような厳密な定義があったのです。
知りませんでした。

 ◆ 生産地:イタリア、フランス、ドイツ、オーストリア、
      チェコ、ロシア、イギリス
 ◆ 時 代:1700年から1940年まで


この範疇に含まれるものだけが「クラシック」と呼ばれる資格をもっている。
ハイドン以前のものは、「アンティーク」または「エンシェント・ミュージック(古楽)」で、大戦後のものは「現代音楽」と呼ばれることになる。
日本人が作曲したものは、決してクラシックとはいわれない。
目からうろこでした。

とっつきにくそうなクラシック音楽も、落語好きな著者の軽妙な語り口によって、すぐにでも聴きに行きたくなるような魅力的な音楽に変貌してしまいます。

また、この本には、雑学的知識がたくさん紹介されていて、それがなんとも面白い。
たとえば。

 ♪ クラシックは敷居が高いがそこが魅力。
 ♪ 解らないからツマラナイ。解れば面白い。
 ♪ ホールではどの席が良い席なのか。2階のサイドか最前列。
 ♪ なぜ司会者やトークがないのか。
 ♪ なぜ楽しそうに弾かないのか。

たかが雑学といって馬鹿にしてはいけない。
究極の雑学は、立派な体系的知識になる?いいお手本、くらいの質・量が盛り込まれています。


「クラシック」と「ジャズ」、それに「落語」について。

ジャズの世界には、クラシックに相当するスタンダードといわれるものがある。
落語にも古典がある。
それらは、

 ★ 淘汰された作品の数に限りがあり
 ★ どれも長年演じてきて飽きられない力のある演目ばかりで
 ★ それゆえ多数の演奏者(演者)が同一の作品に取り組み
 ★ 時代、空間を超えて一つの作品がイメージをひろげてゆく


という共通点を備えている。
三者は、ほかにも、こんな似たところをもっている。

 +コアなファンを持っているが、広がりに欠けるところがある。
 +難しい
 +古典芸能(術)といわれたりもする。


ジャズが古典芸能?
ちょっと抵抗があるが、そう言う輩がいることは否めない。
悔しいが、面白いという気もどこかにある。

 *

ところでと。
肝心の「拍手のルール」についての話は、どうしたのか?
そう、それがこの本のテーマでした。

ジャズの場合は、ルールはない。
演奏が興にのってきたとき、ひいきのミュージシャンが出てきたときなどに、好きにやればよろしい。
「イエッ」なんて掛け声をかけたって誰も文句は言わない。
気分で拍手をすればいい。

では、クラシックの場合は。
場違いなところで拍手をしてしまう「フライング拍手」をしやしないかと心配だ。
タイミングが難しそうである。
周囲をうかがったりして、それだけで緊張してしまう人だっている。

本の中では、拍手の意味、タイミング、お国柄による違いなどがきちんと解説されているのだが、説明すると長くなる。
簡単に言ってしまえば、常識で判断すればそうは間違わないよ、という至極当たり前のことが書かれているのだが、著者の語り口に引っ張られて、知らぬうちに引きずり込まれている。

気がつくと、この人の指揮ぶりも見たくなってくる。
そんな本でありました。

どうです。
読み終わったら、盛大なる「拍手」を送ってあげましょうよ。
ルールなど気にせずに。



posted by 松ぼっくり at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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