2010年10月01日

ジャズは読んでも楽しめる

本来、聴いて楽しむものだけど、ジャズには、読んで楽しむという手もあるようです。
以下、視覚を通して楽しめるものを何枚か。いや、何冊か。


本『ポートレイト・イン・ジャズ』和田誠+村上春樹

ポートレイト・イン・ジャズ (新潮文庫)

ポートレイト・イン・ジャズ (新潮文庫)

  • 作者: 和田 誠
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/12/20
  • メディア: 文庫



リスナーが、ジャズをどのように聴いているのか、ということのお手本になる本です。
55人のジャズ・ジャイアンツの「この一枚」について、村上春樹さんの思いを綴ったエッセイ。
若いころ、自らジャズ喫茶を経営していた村上さんのジャズの聴き方は、深く、厚みがあり、鋭く、そして愛情(憎)がある。
むかしのCDを聴いていると、村上さんは、これをどんなふうに聴いていたのかなあと、つい気になり、この本を引っ張り出す。
和田誠さんの55枚のイラストが素晴らしい。



本『マイルス・デイビス自叙伝』 

マイルス・デイビス自叙伝〈1〉 (宝島社文庫)

マイルス・デイビス自叙伝〈1〉 (宝島社文庫)

  • 作者: マイルス デイビス
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 1999/12
  • メディア: 文庫



マイルス・デイビス自叙伝〈2〉 (宝島社文庫)

マイルス・デイビス自叙伝〈2〉 (宝島社文庫)

  • 作者: マイルス デイビス
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 1999/12
  • メディア: 文庫



マイルス・デイビスです。
「素材」それ自体がものすごく立派。
例えてみれば、ギリシャのパルテノン神殿を仰ぎ見ているようなものでしょう。
世界遺産みたいな立派な素材の細部にとことんこだわっているところが、この本の面白さ。

ビバップ誕生期からエレクトリック・マイルスまで、第一人者の地位をずっと歩み続けてきた男の、金のはなし、女のはなし、クスリのこと、なんやかや、すみからすみまで語られている。
音楽のはなしはほとんどない。
ミュージシャンって、なじかわしらねど、音楽の話をほとんどしない。ですよね。

この本で終始鳴り続けている通奏低音は、

<ヒップでクール>

これ、マイルスの価値判断の基準。
音楽でも、人でも、ファッションでも、クルマでも、マイルスにとって大切なのは、それが「ヒップでクール」であるかないか、ということだけ。
実に分かりやすい、実に正しいものさしです。とぼくも思います。

そういえば、「ヒップでクール」な人間って最近あまり見かけない。
みんなどこへ行ってしまったんだろうか。



本『東京大学のアルバート・アイラー』菊地成孔+大谷能生

東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編

東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編

  • 作者: 菊地 成孔
  • 出版社/メーカー: メディア総合研究所
  • 発売日: 2005/05
  • メディア: 単行本



名著です。
と思うのだが、そうでないと言う人もいる。当たり前だが。
菊地成孔ほど毀誉褒貶相半ばするミュージシャンはいない。
だから好き嫌いもはっきりと分かれてしまう。

東大で行った特別ゼミをまとめたもの。
「歴史編」と「キーワード編」の二巻仕立て。
「歴史編」がいい。

大谷能生の文体がピタリとはまり、音楽本でとてつもない面白いものができあがった。

この本の最大の功績は、バークリー音楽院で教えられる「バークリー・メソッド」の功罪と、ジャズを牽引してきた「ビバップ」の光と影を明らかにしてしまったこと、であろう。
なぜジャズは難しいのか、という問題に対する明確な解答が提示されています。



もう一冊。
本『エッジエフェクト』福岡伸一対談集

エッジエフェクト(界面作用) 福岡伸一対談集

エッジエフェクト(界面作用) 福岡伸一対談集

  • 作者: 福岡 伸一
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2010/07/07
  • メディア: 単行本



分子生物学者、福岡伸一さんの対談集。専門外の人との対話です。
柄谷行人、桐野夏生、小泉今日子、鈴木光司ほか。
小説、教育、絵画、哲学など、いろんな世界を自由に飛び回る福岡さんの自在な知性にあおられて、いっとき精神が解放される。

ジャズと関係ないんじゃないかって?
いや、ちゃんとあるのです。

前書き部分での、ヨーヨーマとの対話。

・・・新しい世界が立ち上がってくるのは、異なった世界が接する<界面>からが多い。
大事なのは、<混合(フュージョン)と対話(セッション)>です。


そのまんまジャズについても言えること、でしょ。



posted by 松ぼっくり at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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