一瞬にしてトリコにされてしまう、人もいる。
ミュージシャンの個性もいろいろです。
類家心平。
いま人気のジャズ・トランペット奏者。

彼のライブは、一度聴いたら忘れられない。
音よりも、その雰囲気に惹きつけられる。
だから、<類家心平>を聴くには、まずはCDから入ったほうがいい。
それほど、彼の舞台での存在感は強烈なのだ。
これほど舞台映えするミュージシャンは、そうはいない。
彼のもつ独特な雰囲気の正体は、「張り詰めた感覚」です。
例えば。
「菊地成孔ダブ・セクテット」。
このバンドのもつ緊迫感・重量感は尋常ではない。
スタジオ作業の「ダブ」を生でやってしまうのがこのユニットの売りのひとつで、バンド名にも入っている。
何が起こるかわからない、生ダブゆえの「ハラハラドキドキ感」が緊張感を醸し出し、類家の存在が、それをさらに増幅・加速・凝縮させる。
もう一例をあげれば。
山田貴子とのDuo.
山田のゆったりとしたピアノと、類家のとぎすまされたトランペット。
緊張と救済、または解放。
二つの音はそれぞれ独立してそこにありながら、渾然と融けあい、双方がたがいを補完し、見たこともない二人の世界を作り出していく。
どちらのユニットにおいても、類家のもつ緊迫感は際立っている。
類家心平は「張り詰めた感覚の人」、なのです。
1976年生まれ。
10歳からトランペットを始める。
高校卒業後、自衛隊入隊。射撃、匍匐前進などの訓練を行いつつ、音楽隊で演奏活動を。
2001年、除隊後上京。音楽活動を開始。
2004年、ジャムバンド「urb」でメジャーデビュー。3枚のCDを出す。
2006年、自身の「Shinpei Ruike 4 piece band」を結成。
(類家心平tp/ハクエイキムp/鉄井孝司b/吉岡大輔ds/)
2009年6月、「DISTORTED GRACE」をリリース。

- アーティスト: SHINPEI RUIKE,HAKUEI KIM,KOJI TETSUI,DAISUKE YOSHIOKA
- 出版社/メーカー: Rambling RECORDS
- 発売日: 2009/06/03
- メディア: CD
ルイケ シンペイと読む。
この珍しい名前は、彼が生まれた八戸市のある地域に集中してある。とウィキにあった。
類家1丁目から5丁目まで、町名もあるらしい。
義経伝説に関わりがある名前だとか、そんな話も彼の雰囲気によく似合う。
本人は嫌がるかもしれないが、イケメンです。
だが、ありがちなアイドル的軽さは少しもない。
硬質な、緊張感のあるイイ男。
マイルス・デイビスのキメ台詞で言えば。
「クールでヒップなヤツ」
ということになる。
シャープでふくらみのある類家サウンドは、世代を超えて支持されている。
日本のジャズ・シーンでは珍しく、若い女性フアンまでガッチリと捉えている。
集客力も群を抜く。
ビバップ、前衛、電気音楽、ダンスミュージックまでを視野に入れた幅広いパースペクティブをもちつつ、それらを貫く「音楽性」を大事にしたい、と言う。
「音楽性」とはなにか。
答えは、まだ出ていない。
どこまで追求しても答えが見えないのがジャズの魅力。
それをつかまえるべく、ルイケの<匍匐前進>は今日も続く。

Chaotic Territory II.wav
《ライブ情報》
10月5日(火)
【SHINPEI RUIKE 4 piece band】 横浜 Motion Blue YOKOHAMA
★ 類家心平オフィシャル ウェブ サイト