本欄初のビブラホン奏者です。
小さい頃からピアノとエレクトーンを習い始める。
中学で吹奏楽部に入部、パーカッションと出会う。
大学卒業時まで、部活、サークル活動でパーカッションの演奏を手がけ、同時に、音階のある鉄琴・木琴などのマレット・キーボードを好んで演奏する。
卒業後、赤松敏弘氏に師事、JAZZ理論とVibraphoneの4本マレット奏法を学ぶ。
現在、都内や首都圏中心にライブ活動を行っている。
リーダー・カルテット「VANGY!!」、フルートとのデュオ「Tirol Fonte」、三管にバイブ、パーカッション、ギターが加わった大編成バンド「Remembers」、ピアノ・ヴァイブ・パーカッションの変則トリオ「conviano」などで演奏。
癒しの音色と激しいプレイスタイルが持ち味で、幅広い表現力に定評がある。
カオリンの愛称で親しまれている。
ビブラホンって知ってますか?
あの木琴や鉄琴の兄貴分みたいな楽器でしょう。
学生時代には、ライオネル・ハンプトンやミルト・ジャクソンが好きでよく聴いてましたよ。
LPで。
オーディオ装置を「電蓄」(電気蓄音機)なんていってた時代ですがね。
よく知ってます。
と、思っていた。
中島香里さんをライブで聴くまでは。
千葉みなとのライブハウス<CLIPPER>で、大きな楽器と格闘する中島さんを目の前で見て、初めてビブラホンという楽器が分かった。
ような気がした。
小さなからだをたたきつけるようにして演奏する中島さんに、いっぺんに魅了されてしまった。
ビブラホンという楽器。
見た目がいい。
音がいい。
なにもない空間から、ポロリポロリと音の粒が飛び出してくる。
演奏者のプレイスタイルが面白い。
・・・鉄独特の、高い空に抜けるような澄んだ音色が魅力です。一音を出すだけで、独特の景色が生み出される気がしています。
両手に持った4本のマレットが、目まぐるしく鍵盤上をかけめぐる。
右足が忙しくペダルを踏む。
足を使うということを、実は、ぼくは知らなかった。
・・・ただ叩いただけでは「ポン」という音しか出ない。8分音符という音の長さを表すためにペダルを使わないといけない。踏みっぱなしにすると音が濁ってしまう。そこが難しい。
複雑にして精妙。
よく間違えずに、正しいポジションをたたき続けることができるもんだ。
「右に50本、左に50本もある己の足を、いったいどういう順番で動かして前に進んでいるのだろう。そう考えたとたん、そのムカデは一歩も歩けなくなった。つまり、何も考えずに、生物は目の眩むような複雑さをこなしながら生きているのだ」
という話を読んだことがある。
中島さん、演奏中、次はどこの鍵盤を、どのマレットで叩き、どのタイミングでペダルを踏もうか、なんて考えたりしないのだろうか。
何も考えずにかくも複雑なバチ捌きができるようになるまでに、どれほどの練習がなされてきたのだろうか。
厳しいトレーニングが繰り返されたのだろう。
そんな努力のあとなど少しも見せずに、中島さんの手足は自在にビブラホンの上を、「蝶のように舞い、蜂のように(聴く者の心を)刺す」。
ビブラホン独特の美しい音は、そう、聴く者のハートを刺し貫く音でもあるのだ。
参りました。
「ビブラホンは、演奏者の絶対数が少ない楽器なだけに、個人間のカラーの対比・葛藤がより鮮烈である。一人一党的な要素が色濃くでる」(村上春樹「ポートレイト・イン・ジャズ」)楽器らしい。
個人の感性や思い入れが強く発揮される楽器。
一人一党的な楽器。
・・・スイングしたい。いい音色で。いいグルーヴで。
聴衆がぐっとくるような音楽をやっていきたい。
これが<カオリン党>の綱領でありマニフェストだ。
めずらしい楽器ゆえまだ少数党の感なきにしもあらずだが、入党をおすすめしますよ。
入会自由。
ただし、一度入ると抜け出せなくなるおそれがあるのでご用心を。
プロフィールにあるとおり、癒しの音色とそれに反する激しいプレイスタイルが持ち味のミュージシャンです。
まずはライブへ、ぜひ。
★中島香里ブログ「のんびぶらーと」
中島さんオリジナル曲「Flying Mind」視聴できます!
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
《ライブ・スケジュール》
・12月30日(日)大塚 All in Fun
conviano:岸淑香pf/中島香里vib/藤橋万記per
・1月6日(日)大久保 Boozy Muse
中島香里vib/安田幸司b/安藤正則ds
・1月22日(火)銀座 No Bird
VANGY!!:中島香里vib/後藤魂pf/吉木稔b/安藤正則ds
・1月26日(土)福生 Jesse James
中島香里vib/吉本章絋ts Duo
・1月27日(日)江古田 そるとぴーなつ
conviano:岸淑香pf/中島香里vib/藤橋万記per