1979年生まれ。千葉県出身。
中学、高校時代に吹奏楽部に所属し、さまざまな楽器にふれる。
千葉大学入学後、モダンジャズ研究会に所属。
アコースティックな低音の世界に惹かれ、Jazzコントラバス奏者を志し、山下弘治氏に師事。
在学中より、セッション活動とストリート演奏を通して技法に磨きをかけ、ライブスッポットでの演奏活動を行う。
アンサンブルでは、刺戟の中心となりつつもサウンドの基礎をしっかりと支えることを信条としている。
2007年、横浜ジャズプロムナード・コンペティションにてグランプリ受賞。
現在、東京を拠点に演奏活動を展開している。
(プロフィールより)
ミュージシャンは人と比較されることを嫌う。
演奏スタイルがだれに似ているとか、サウンドはだれゆずりだなとかいった類の評価のされようのことだ。
当然といえば当然だろう。
自分の才能を信じ、自分だけの音の創造に日夜励んでいる人たちばかりである。
おれはおれ、わたしはわたし、なのだ。
昔は「1バンド1民族」(糸井重里)だったが、今では「1人1民族」(山下洋輔)がジャズの世界なのだ。
だれかに似ているといわれるくらい、プライドを傷つけられる話はない。
ということをあえて承知の上での池尻洋史さんです。
4、5年前、守谷美由貴さんのグループで初めて聴いたとき、「あっ、スコット・ラファロだ」と思わずつぶやいていた。
ビル・エヴァンスとともに、ピアノトリオの新しい形を作り上げたベーシスト。
ベースの独立性を主張し、ベーシストの個性を際立たせることに強くこだわった。
そして、25歳のときに自動車事故で死んだあのラファロである。
そんなラファロを思い出させるなにか強烈な印象を受けた記憶がある。
なぜかはいまだによくわからない。
音楽的な共通性ではもちろんない。と思う。
自慢じゃないが、無類の耳悪かつ音楽的素養皆無である。
上の音楽についての説明だって、ベーシスト坂本信さんの受け売りでしかない。
強いてあげれば、細面、クールカットという見た目がよく似ているということかもしれない。
まあ、そんなことはどうでもいいことだが。
以来、ずいぶんとライブを聴いてきたが、いつも思う。
「あっ、ラファロがいる」
1961年に死んだラファロを、当然のことながらぼくは見たことはない。
見たこともないのに、こんな風に感じるのってなんか変ではないか。
もしかして、池尻さんってラファロの生まれ変わり?
んなことはないよな。
舞台の上の池尻さんには、見た目とは裏腹に(とぼくは思っているのだが)ずしりとした安定感と力強さがある。
ソロをとるとき弾き出されてくる音は、強くて大きい。
どっしりとしたその存在感に魅せられてベースを始めた。
音色に感じられる<木の音>にたまらなく惹かれる。
と、言う。
これぞ、楽器との正しい出会い方付き合い方ではないだろうか。
楽器は生き物だ。
愛情を持って接する人には、愛情のこもった音を返してくれる。
楽器のことなど何も知らないぼくにそんなことを思わせてくれるのも、<池尻洋史>という個性のせいだろう。
石田衛(p)さん、安田幸司(b)さんと同じ、千葉大ジャズ研の出身。
応援にも、少し力が入る。
千葉在住者としては、やむを得んでしょう。
☆Hiroshi IKEJIRI official website