2012年02月29日

JAZZ JAPAN AWARD2011

ジャズ専門誌「ジャズジャパン」が<JAZZ JAPAN AWAED>を創設し、第1回授賞式と受賞者による記念演奏が、2月25日、横浜で行われた。

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受賞者は、

 ・SOIL&“PIMP”SESSIONS(ニュー・ジャズ部門)
 ・井上銘カルテット(ニュー・スター部門)
 ・奥田弦(ニュー・スター部門)
 ・山中千尋(ジャズ部門)


このほか、小曽根真さん(東日本大震災に対する支援活動)など4部門。

ミュージシャンの優劣より日本のジャズシーンに対する貢献度を重視した選考との、主催者の説明がある。

賞の選考基準には、才能、技術、売り上げ数、話題性などがある。
フアン投票もよく使われる。
今回のような、ジャズに対する貢献度というのはあまり聞いたことがないが、これも立派な基準です。
受賞者の顔ぶれも妥当。

そもそも、才能やテクニックで選ぶといっても、いま活躍中の若い人は、若い人に限らないが、みんなうまい。
甲乙つけがたい。
売り上げ数で選ぶといっても、そのためのデータがない。
<貢献度>という抽象的で少し分かりづらい基準にせざるを得ないというところに、いま日本のジャズがおかれている厳しさがあらわれている、と言えなくもない。

まあ、厳しさは承知の上だ。
それはそれとして、なにはともあれ新しい賞の創設をまずは喜ばなけりゃいけない。
ジャズフアンにとって、こんなにうれしい話はない。

井上銘さんは、本コラムでも紹介したスーパーギタリスト。
奥田弦さんは、なんと10歳の天才ピアニスト。
話題性にはことかかない。

賞は、第一にミュージシャンに対する顕彰であるが、もうひとつ、世間への話題提供という意味も併せ持つ。

「スイングジャーナル」誌をはじめ音楽専門誌が次々に姿を消し、それにともない、各誌が行ってきた<賞>や<フアン投票>もなくなってしまった。
新設されたこの賞が、たくさんのメディアに取り上げられ、「ジャズ、世にはびこる」ための一助になるといい。


先だって、作家に与えられる新人賞としては最高の芥川賞が発表された。
「もらっておいてやろうか」発言で話題を呼んだ田中慎弥さんの「共喰い」は、25万部のベストセラーになった。

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なかみはさておき、というか小説の善し悪しは人によって違う。
音楽も同じだ。
点数化することができない世界である。
必ずしも、いいものだから売れる、支持されるとはならない。
話題性をバカにしてはいけない。

小説の世界では、新人賞作家には専任の編集担当者がつく。
編集者は、日常的に作家と接触し、企画を考え、執筆をうながし、原稿を読み、意見を述べ、時に酒を飲み、励まし、議論する。
また、出版社には、販売部があり宣伝部がある。
書店は、日本中どこにでもあり、読者は、好きな本を比較的容易に入手できる。
構造不況業種などといわれながらも、まだまだインフラは整備されている。

音楽の世界には、残念ながらこれがない。

音楽と文学を比べても仕方がないとも思うが、若い才能を支え育てるために必要不可欠なインフラの厚みに、この二つの世界には圧倒的な差がある。
ジャズフアンとしては、それが残念でならない。
活躍中の若いミュージシャンの実力は、文学でいえば新人賞受賞作家かそれ以上。
なんですよ。

「ジャズジャパン」の新しい賞が、彼ら彼女らを支える一助に、さらには、音楽インフラ拡充拡大への突破口になってくれるといい、と、切に希っているのであります。

まてよ、ってえと、今回の真の受賞者は「ジャズジャパン」誌ってことにならないか。
そうだな。それを忘れちゃいけないな。

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2012年02月17日

硬度をきわめればダイヤモンド──トランペット奏者、高澤綾さん

精神の硬度が並みはずれて高いミュージシャン、とお見受けしている。
強い緊張感を周囲に放射している。

ただ気が強い、ということではない。
放射される緊張感は、周囲を凍りつかせる類のものではない。
そのなかにすっと入っていける微妙な軟度を併せ持っている。
硬軟入りまじった不思議な雰囲気を漂わせている人。

精神の強い緊張感に身体が耐え切れなくなるのだろう。か。
演奏中、時に腕を交叉させ、回し、屈伸させる。
精神と身体のバランスをとる自分だけの儀式。

おっ、やってる。
今日は調子がよさそうだな。

ひそやかな儀式をのぞかせてもらったような気がして、なんだかうれしくなる。

トランペット奏者、高澤綾さんです。

フライヤー宣材.jpg

10月29日生まれのA型。
5歳でピアノ、10歳からトランペットを始める。
国立音楽大学に入学。熊谷仁士氏に師事。
在学中、各種演奏会に出演、優秀な成績で卒業する。
クラシックのほか、在学中より「ニュータイド・オーケストラ」に所属、「山野ビッグバンド・ジャズ・コンテスト」で入賞。
卒業後、本格的に演奏活動を開始。さまざまなサポート活動やレコーディングに参加。
女性ブラスユニット「東京ブラススタイル」で、ジャズCDとして異例のセールスを記録。
テレビ朝日「ミュージック・ステーション」、フジテレビ721「ライブ・レターズ、Music Air「MUSIC ENGINE」へ出演。
2009年、NY国連本部で行われた「世界人口基金表彰式典」で演奏、各国大使より賞賛を浴びる。
現在は、自己のリーダーバンドなどジャズのコンボ編成での演奏活動がメイン。
2010年、「JAZZ JAPAN」誌に、2011年、「ジャズ批評」誌に注目すべきミュージシャンとして紹介される。
ライターとして、ジャズ専門誌や管楽器専門誌へ寄稿。
指導、個人レッスンにも力を入れている。


プロフィールを見て分かるように、とにかく前向きである。
演奏だけにとどまらず、活動の場を積極的に広げ、走り続ける。
しかも、すべてにおいて全力疾走。
けっしておあそびではない。

とにかく、走る。走る。
そんなに走って大丈夫かなとも思うが、心配無用。
体幹が、心身ともにしっかりしていらっしゃる。
けっして前のめりにならない。
揺るぎもしない。
地に足をしっかりとつけて、ぶれない。

活躍の場すべてを紹介することはとてもできないが、一例をあげれば。

管楽器専門誌「SAX & BRASS magazine」に書いているフレディ・ハバードの評伝。
往年の名プレイヤーの音楽的変遷をまとめたものだ。
いそがしいなかで、よくこれだけのことを調べまとめ上げたもんだと感心する。
立派な仕事です。
同じく、管楽器専門誌「Poco a poco」にもエッセイを連載中。
ライターとしても飯が食える。
本物です。


3月14日、ファーストアルバム「PATTERNS」が全国発売される。

「トランペットは一音で音楽空間を支配できる」

とおっしゃるとおり、高澤さんの吹く音の強さには定評がある。
女性でこれだけ強く吹ける人はそうはいない。

ジャズをよく知っている人だけではなく、初めて聴く人に対しても、「その人たちの直感や感覚に訴えかける力を持った音楽」を心がけたいと、リスナーに対する配慮も忘れない。

自己満足に陥ることなく、リスナーを意識し、説得力を持って彼ら彼女らに訴えかける演奏をと、希求している。

硬度は、きわめればダイヤモンドになる。
届きそうでなかなか届かない・・・

そんなことないって。
「背伸びしてれば、いつか背は伸びる」

また言ってしまった。寺山修司のことばです。たしか。


3月14日発売 ファーストアルバム「PATTERNS」
Patterns / パターンズ / 高澤綾, 西口明宏, Jacob Koller, 安田幸司, 柴田亮 (CD - 2012)

★高澤綾Official Web Site

音楽視聴できます!!

≪ライブスケジュール≫
・2月24日(金)大久保 STONE
・3月3日(土)新宿 JazzSpot J
・3月15日(木)赤坂 Bb
・4月8日(日)関内 KAMOME
・4月25日(水)立川 Jesse James


少し先になるが、名古屋(6月22日)、大阪(23日)ツアーも決定している。

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